① “部落地名総鑑”訴訟の判決に対する知事の所見と今後の同和行政について
② 障がいのある児童・生徒の学びの保障と就労保障について
~琴の浦高等特別支援学校から見えてくるもの~
質問
無所属の由田でございます。通告に従い、県政に対する一般質問を平井知事、足羽教育長に行います。
本日は、午前中に民主、浜田議員も言われたように、12月10日、世界人権宣言が採択をされた日です。全ての人間は生まれながらに平等で、かつ尊厳と権利について平等である。これは、世界人権宣言の第1条であります。世界人権宣言は、1948年、昭和23年、国連の第3回総会で採択されたものであります。その日が12月10日ということで、日本はその日を世界人権宣言の生まれた日にちなんで、人権週間を位置づけられました。12月4日から10日までの1週間、人権意識の向上を高めるための1週間であります。これは、日本全国で多くの自治体や関係団体がイベントを行い、啓発活動をしています。
12月7日、県議会自由民主党の松田正議員から紹介のあった拉致問題については、平成18年6月に拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律が施行され、国及び地方公共団体の責務が定められました。そして、この12月10日から16日までの1週間、北朝鮮の人権侵害問題を考える北朝鮮人権侵害問題啓発週間として、今、運動が展開されているところであります。この12月10日を挟んだ2週間の間、この人権週間にちなんで、私も県民の皆さんとともに人権課題をしっかり語らい、あるいは行動して、拉致問題の早期の解決に向かっていきたいというふうに決意をしているところであります。
さて、私の地域の高城地区、さわやか人権文化センターがあります。そこでは、今回、倉吉市の第73回人権週間に合わせて、解放文化祭が開催をされています。先週末には、学習会に参加する子供たちの学習発表会がありました。この学習会は、小学校1年生から中学生まで、学年に応じた人権課題を明らかにして、友達を大切にすることから始まり、多様性を認め合い、差別に負けない、たくましく生きる力を育む学習会を年間通して行っています。その学習成果の発表会に私も参加をいたしました。すばらしい内容の発表で、本当に勇気と、そして、元気を子供たちからいただきました。その子供たちに負けないように、本日は一般質問を精いっぱいやらせていただきますので、平井知事、足羽教育長、どうぞよろしくお願いいたします。
部落地名総鑑、鳥取地裁の一審判決について
初めに、部落地名総鑑、鳥取地裁の一審判決について、知事の御所見と今後の同和行政について伺います。
被差別部落の地名リストをネットに公開し、書籍を出版しようとした川崎市の出版社、示現舎、そして、その運営者Mに本年9月27日、東京地裁は、リストの削除と出版禁止を命じた部落解放同盟と被差別部落出身者230名の訴えを大筋で認めています。裁判の焦点は、地名の公表が人権侵害に結びつくかどうかだったのですが、判決は、個人の住所や本籍地の情報をリストと照合することで、被差別部落とされる地域が特定されるとして、プライバシーの侵害を広く認定しています。
今回、問題の被差別部落の地名リストは、戦前に作成された全国部落調査の復刻版の発刊を狙ったもので、1970年代には部落地名リストの図書、部落地名総鑑を企業などが購入し、身元調査などに用いたことが発覚して、社会問題になりました。これは、政府が部落地名総鑑を回収して焼却処分を行い、対処してきましたが、近年はネットによる拡散という新たな課題が発生しています。全国5,360以上の同和地区の地名リストが5年前、インターネットのサイトに掲載された。根深い差別を受けてきた人々は、ネットでさらに部落差別が拡散されると憤り、掲載差止めと損害賠償を求める訴えを2016年4月に東京地裁に提訴いたしました。部落解放同盟と同盟員ら248名、そして鳥取県関係では10名であります。
判決では、部落出身を告白するなどした原告に対しては、出版によるプライバシー権の侵害は認めず、該当者の出身6県を差止めの対象から外した。その6県は、千葉、富山、三重、山口、佐賀、長崎の6県。差止め対象となったのは、北は栃木から南の鹿児島までの20都府県。原告のいなかった1都15県の地域は判断されなかったのであります。
ここでの問題意識は、復刻版全国部落調査全体の差止めを認めず、一部都道府県を差止め対処から外したところにあると思っています。このことは、この判決が原告の権利侵害について、差別されない権利の侵害を否定して、プライバシーの侵害と名誉権の侵害のみを認めた結果、復刻版全国部落調査全体の差止めは認められず、権利侵害を認めた原告が存在する都府県のみとしたことが最大の問題として、原告団は直ちに提訴しています。要は、提訴した人が、被差別部落がたくさんある県においても提訴がなかったら、その県の部落は公表していい。この地裁の判断であります。断固認めるわけにはなりません。
そしてまた、被告の出版社は学術研究や表現の自由を盾に反論しましたが、一審判決は、公益目的は認められないとして、この男性Mに対して差止めと賠償を命じました。この男性も控訴をしています。
そこで、知事には、この東京地裁の一審判決について、率直に感想をいただきたいというふうに思います。
なお、両者が控訴していますから、今後は東京高裁において審議をされます。知事のコメントもある程度制約を受けると思いますが、差し支えない範囲内でコメントをいただければと思います。
鳥取県の特別支援教室について
次に、障害児者、生徒の学びの保障と就労支援について教育長に伺います。
初めに、鳥取県の特別支援教育について伺います。
鳥取県教育振興基本計画の中にある特別支援教育の充実について何点か伺います。
発達障害を含む障害のある子供への切れ目のない支援体制の充実、そして、特別支援学校のセンター的機能と学校間連携の推進について、いずれもどのような体制で、さらに目的も含めて御答弁をいただければと思います。
次に、特別支援学校の在り方検討及び特別支援教育環境の整備についてとこの基本計画にはありますが、現在どのような検討がなされているのかを伺い、登壇での質問といたします。
知事答弁
由田議員から、この判決につきまして一般質問をいただきました。由田議員からは、いろいろとこの人権をめぐる状況につきまして、示唆深いお話をいただきました。
今、地元のほうでも子供たちが人権学習をしっかりやっておられる、そのことは大変に貴いことでもあり、また、こうしたことが鳥取県の中でそういう人権意識というものを将来に向けて根づかせていく、そういう大きな役割を果たすのだろうというふうに拝察をさせていただきました。世界のほうで人権を尊重しようと、こういう宣言がなされたこの日に私たちはこういう語る機会を得ましたこと、感謝を申し上げたいと思いますし、決意を新たにさせていただきたいと思います。
今なお世界中で差別、あるいは非常に不幸な、特に近年の場合はネットを通じて行われる犯罪と言っていい行為、これに苦しめられること、それがクローズアップされ、結局、はるかかなたから誓い合っているにもかかわらず、全くその実が上がっていないところもあるどころか、悪化している面があるということを認識しなければなりません。
そういう意味で、今回お取り上げいただきました9月の末に判決が出ました今回の東京地裁の判決につきまして、感想を求められたところであります。
同じようなことは、最近もいろいろと話題になりましたのは、木村花さんという、残念ながら命を絶たれた方がいらっしゃいました。これは、テレビ番組が元で、ネットの上で誹謗中傷を受けたということでありますが、これが元は恐らく数人なのですね。それがある意味、どういう意識なのかはちょっと分析が必要なのでありましょうけれども、数名の方、一握りの方が始めたことが、あっという間に拡散して広がってしまう。それが人間を命を絶つことまで追い込んでしまう、そういう残念な状況が現代社会にあるということをクローズアップさせたものであります。これにつきましても、129万円ですかね、やはり賠償を求める判決が出たところでございます。こういうのと実は同じようなことなのだろうというふうに思います。私たちは、部落差別と闘う、そうした人の心の中の病理を一掃しようと、長年にわたり努力をしてまいりました。
先ほどおっしゃった名鑑、地名の本につきましても、これも一旦はこの日本から消えたと言っていいはずのものだったわけでありますが、それがネット上に平成28年にデータが掲載されてしまうと。さらに本が復刻されてしまう。このことで危機感を持った方々が訴えに出たということでありました。取り急ぎ仮処分の申請がなされまして、出版のほうは止まりましたし、また、ネットの掲載のほうも削除をされているわけでございます。
その本案といいます、中身の実体法のほうの判決、それが今回出て、こうした仮処分の状況というものが言わば肯定をされた上で、損害賠償につきましても判断が出されたということであります。まだこれは確定していなくて、原告側、被告側、両方とも双方、控訴をするという状態でありますので、今後まだ訴訟は展開されていくのだろうというふうに思いますが、こうしたことが現実に多くの方々にも知っていただくところになることが、残念ながら、差別の絶えない、そういう社会を正す効果はあるのではないかと思います。
この手の問題は非常に我々も苦慮しておりまして、平成19年だったと思いますが、やはり同じようなグループの流れなのだと思います。そういう中で、ネットのほうにやはり掲載をされてくるという、そういう残念な事象がありました。これにつきましても、訴訟になり、情報公開請求ということもあったのですが、これは上告まで行って退けられることになったものの、ただ、掲載されるものについて、前に議会で由田議員ともお話をさせていただきましたが、私どももこれを削除すべきと考え、何とかグーグルのほうに掛け合うのですけれども、結局削除は認められないというようなことになる。非常に限界を感じることの多いものであります。
今回の訴訟の中で争われた主要な論点は、表現の自由というものと、それからプライバシー権、個人の人権ということであります。これについて裁判所のほうは、ここについては明確に判断をしているわけでありまして、表現の自由とはいっても、こういうプライバシー権の侵害、あるいは個人の人権を阻害する、そうしたことまでは認められないと。これは憲法におきましても、やはり表現の自由は高い自由ではございますけれども、それも一定の制約があるということは最高裁の判例も含めて確立をされてきたことです。
今、ネット社会になりまして、何でも出していいと。何でもそれを面白がって広げていいという、そういうようなことが横行していますけれども、それに対して警鐘を鳴らすという意味は、少なくとも今回の判決にはあったのではないかなというふうに思います。
もちろん残された論点もあって、では、それについては本人が自ら語っていたかどうかで、いろんな法律効果が変わっていいのかどうかということであるとか、言わば差別を受けない権利と言ってもいいようなもの、そういうことの権利性が果たして、さきにこうした解放についての法律が国家で制定されましたけれども、その後においてもなお、その辺につきましてはまだ認識が十分でないのかもしれないと思わせるところもありまして、双方、上訴ということになったわけでございました。
例えば刑事事件などでよく言われるわけでございますけれども、刑事事件で、例えば物を盗んで判決が出る。あるいは殺人事件など、そうした事件を起こして判決が出る。その出るもの自体は、例えば罰金が300万円だとか、あるいは情状酌量で無期になるとか、いろいろあろうかと思うのですけれども、それは一つ一つは小さいかもしれません。しかし、その人は、もうこれはいかんなということで、本人がやめることになると。こういうのを特別予防というのですが、そういうことで個別にそうした自ら悔い改める、それによって行動を変えていくということがあるわけであります。
また、一般予防といいますけれども、広くそうしたものを一つの他山の石として多くの方々が共有をし、あっ、これはやっちゃいけないのだと、こういうことがあってはならないという認識を深めて、社会全体でそれを抑えていくと。そういうような一般予防ということも言われるわけであります。今回の判決は、そういう意味で、それをやっている当事者の皆さんにはぜひこのことを改めていただきたい、深く認識をしていただきたいと思いますし、また社会全体でも、あっ、これは損害賠償を払わなきゃいけなくなるのだと、あっ、こういうことをやっちゃいけないのだということを広く共有をしていただく必要があるのではないか。まだ訴訟は続きますけれども、そういう意味で、後世にとって意義のある裁判になっていただきたいと思っております。
足羽教育委員会教育長答弁
由田議員からの一般質問にお答え申し上げます。
私のほうには、特別支援学校の充実に向けて、切れ目のない支援体制についてどうかという点、2点目としまして、特別支援学校のセンター的機能、これと学校間の連携の状況、3点目としまして、今後の特別支援学校の在り方検討についてお尋ねをいただきました。
教育委員会でも、教育振興基本計画の中にこの特別支援教育の充実ということはきちんと位置づけながら、その具体の取組を進めてきているところですが、議員から御指摘もありましたように、近年は発達障害と診断されるお子さん、また、診断がなくとも、そういう状況にあるのではないかというふうなお子さんが増加しているなど、これまで以上にそれぞれ個々の状況に応じた支援の在り方を検討していくことが必要となっているところでございます。
その中で、1点目の切れ目のない支援というのは、そういう意味で、そういう小学校段階、中学校段階、高校段階と、子供さんの成長に従ってやはり個々の支援計画、あるいは指導計画、これを明確に立てながら、さらには、これは本人、保護者の同意が必要なのですが、それを引継ぎを校種間できちんとしながらということで、その指導の在り方の一貫性、あるいは連続性、これをしっかりつくっていくことが必要となっております。そのために、全学校にこの特別支援教育に関する手引を作り、どんなふうな支援、あるいは配慮をしていくべきかということの周知徹底を図っておりますし、また、県内の学校に14名のLD等専門員という非常に専門知識を備えた教員を配置しており、講習によって障害のある状況に応じた相談体制を取るようにしているところでございます。
また、高等学校にもそうした障害のあるお子さんが進学してきておられます。ようやくということなのですが、通級指導教室を全県で今4校設置をして、自立活動といった取組をつなげているところであり、そうした一貫性、連続性のある体制を全県下で進めていくことが必要であり、今後も取り組んでまいりたいと思っております。
2点目は、今のことと重複する部分もございますが、特別支援学校がこれまで培ってきたノウハウや知見を支援学校の生徒さんだけではなく、小学校、中学校、あるいは高等学校にもそうした対応が必要な生徒さんがいらっしゃることから、随時その相談体制を構築できるようにして、場合によっては、学校に出向いて、先生方への研修であったり、あるいは個別の相談、ケース会議に参加したりということで指導、助言を行う、そういう体制を今、全県下でしいているところでございます。
3点目でございますが、今後の在り方ということになるわけですが、これまでも様々な状況に応じて、その障害のニーズ、あるいは社会状況の変化に応じた取組を進めてきており、中部地区では令和2年度に盲学校、聾学校の附属教室センターをようやく開設することができました。わくわくという施設を設置して、中部地区を中心とした保護者への相談体制だったり、指導を行うようにするとか、先ほど申しましたが、高等学校にも通級教室を設置するなど取り組んできたところでございます。
まだ今後、年々変化していくであろうこの支援体制の在り方について、今後、では、どうあるべきかということで、審議会のほうでもう既に8回審議を行っていただいており、自立と社会参画に向けた切れ目のない支援体制づくりや、では、体制のない高校への支援の在り方、また学校現場と医療、福祉との連携、そういったあたりを今審議いただいているところでございます。
いずれにしましても、学校におきまして、そうした個々の状況に応じた支援の在り方は何がふさわしいのか、これを今後も追求しながら、支援の充実に努めてまいりたいと思います。
質問
ありがとうございました。特に知事におかれましては、なかなか答弁しにくい内容であったにもかかわらず、コメントをいただきましたこと、感謝申し上げたいと思います。
実は知事にも教育長にも聞いていただきたいのですが、9月27日のあの東京地裁判決、その報告集会が11月21日にありまして、これは、こういう内容でこういうものを私が地域を中心に配布をしました。これは地域、被差別部落中心になったのですが、私の認識でも、倉吉市内、地区外から離れて居住している仲間、あるいは知り合いの方をよく承知していますので、これを配布、本来、コロナがありますので、ポスティングだけにしようと思っていましたけれども、ちょうど玄関の前に家人がおられて、お母さんだったのですけれども、少し内容を話して、渡そうとしました。部落から出て約10年が経過するその方は、ええっ、私にもか。すごい重たい言葉をいただいたように思いました。
今日、この後、再質問でやらせてもらうわけでありますが、実はこれは平成17年の古い資料なのですが、県内には17市町村に107の被差別部落があります。そして、6,218世帯、その時点では2万237人おられましたが、その5年前と比較したら、81世帯、1,581人が減少しています。これは、いわゆる亡くなられたり、そういう方もあるわけですが、私の知る限り、倉吉でも、東部でも西部でも例外はありませんが、部落から外に出て生活されている、居住されている人は結構、先ほど紹介した人のように、たくさんおられるわけですね。
近年の解放新聞を見ていますと、今、そういう方がターゲットになっている向きもあります。ある意味、さらし、暴く。ある例では、町内会で世話役をずっと続けてきて、自治会長をして活動しておられた方に、そういうところで暴いてさらす。これは全国的に今、多くなってきています。
例えば、ある商店街にお店を出したら、その出自は部落であったというようなことをネットに、あるいはビラを貼る。そういうことすら今、起きている。私の思いは、被差別部落の中に住んでいる人たちだけでなくして、そういう裾野が広がっている方にも、こういう集会に参加をして学習していただきたい。あるいは、自信を持っていただきたいという思いでもあったのですが、なかなか思うに任せないところもあったかなというふうに思っています。
2016年には部落差別解消推進法ができましたし、本当にこの法律ができても、こういうことにはなかなか無力であるというふうに私は感じています。今年の4月にも、この条例改正もありました。期待するところは大きいのですが、なかなかこれをもっても、こういう規制はできません。
そして、実は最近お聞きしたのですが、鳥取県も来年4月から、いわゆる部落解放・人権政策確立要求鳥取県実行委員会に正式に加入されるように伺っています。この人権政策確立要求鳥取県実行委員会は今、差別禁止法、そして、人権侵害救済法を国に求めています。その中に鳥取県が入って議論を尽くしていただけること、すごく喜んでいるものであります。
知事におかれましては、最後の質問になりますが、これらを通して、今回の東京地裁の一審判決も踏まえながら、今、鳥取県にも2万人余りの被差別の人たちが生活をしている、これからのその人たちの人権をいかに守っていくか。いや、それだけではありません。条例でいえば、あらゆる差別をなくするという視点ですから、障害のある方もジェンダーの方も、差別に苦しんでいる全ての方を救済するための決意を最後に伺って、この問題の締めにしたいと思います。
そして、教育長には、今、私の発言も聞いていただいたと思います。県内には107の被差別部落があって、少なからず児童生徒がいるわけであります。教育長から見たそういう子供たちの教育的課題が認識されていれば、お示しをいただきたいというふうに思います。1つ提言として、私はこのように思っているのです。やはり学校教育の中で部落問題を語るときも、やはり実感がないといけないと思うのです。この鳥取県にもこれだけの集落や世帯や人口がいて、差別に苦しんでいる、その裾野もある。学年の能力に応じてですけれどもね、やはりそういうところからしっかりと、すとんと胸に入るような人権教育をしていただきたいと思いますが、そのことも含めて御所見をいただければと思います。
知事答弁
由田議員の一般質問にお答え申し上げます。
重ねて、こういう部落差別の問題につきましての今後の決意についてお尋ねをいただいたところであります。
議員のほうからも御指摘いただきました部落解放・人権政策確立要求鳥取県実行委員会につきましては、かねてやり取りもさせていただきましたが、先月、倉吉市の事務局のほうから御案内がございまして、鳥取県としても加入をさせていただき、これまでももちろん同趣旨のことをやっておりますが、組織的な関わりを持って、今おっしゃったような問題解決に改めて当たっていきたいと、決意を申し上げたいと思います。
今お話を伺っておりまして、やはりそういうことがあるのだなということを思いました。ちょっと先ほども申しましたが、ネット社会がいろんなものをゆがめているように思うのです。ですから、デジタル社会構想推進会議の中でもちょっと私は異端かもしれませんが、ネット社会の負の面ということをやはり、専門家といいますか、どちらかというとプロバイダーとかそういう人たちの集まりなものですから、割とはっきりと申し上げさせていただいております。我々もいろんなことと出会ってみて、非常に苦労していると。
先ほどもワクチンのお話がございましたけれども、ワクチンについては、人の体の中にマイクロチップを埋め込む作業だみたいなことは普通は信じられないのですけれども、ただ、テレビも新聞も読まずに、あまり本も読まない、そういう人たちが、何かそういうことを書いてあると、何か妙に納得することってあるのですね。そういうことが元で、大変な社会的な弊害に広がっていくということがあります。
人間というのは非常に弱いもので、一人一人は孤独では生きていけないわけでありますが、ある意味、いじめと同じ心理構造で、それをむしろ悪用して、その人を追い込んでしまうということがある。これは命にも関わることでありますし、それは生命のみならず、例えば社会活動、職業を持って生活をしていくとか、あるいは地域の中でのいろんな活動だとか、子供たちの教育の場における地位であるとか、いろんなところに影響してくる。その反省を我々はしたはずなのですが、またネット社会という匿名性のある社会に入ってしまったものですから、その隠れていた、言わばみんなが理性で抑えていたものがまた噴き出しているような、そういう恐ろしさを感じるわけでございます。
そういう意味で、私ども、この議場での議論に基づき、人権尊重の社会づくり条例を先般改正させていただきました。そこにおきまして、全国でまだ例がないことだと思いますが、差別を受けない権利と言ってもいい、そういう包括的な差別禁止の条項というものを設けさせていただきました。それは別に部落の問題だけでなくて、今回の感染症の差別のことだとか、あるいは政治倫理やジェンダーのことであるとか、そういうことも全部含めてはっきりと書かせていただいて、つくらせていただきました。また、それを実効あらしめるために、教育が大事であると。この教育についての条項を設けさせていただいたり、また、いろんな調査であるとか、それから相談機能など、社会におけるそうしたセーフティーネットを張る事業につきましても、今回の条例の中には書かせていただきました。
現在、第4次の人権尊重の社会づくりの計画を策定いたしまして、今広く意見を求めているところでございますが、こうした観点を盛り込みながら、新しい差別事象についても明記をさせていただいています。その一つがデジタルのことでありまして、市町村と共同して、ネットモニタリングをしたり、削除要請をするということも明記をさせていただいておりますし、また、職場の中の差別、今、いろんなハラスメントの問題もございます。そうしたことも書かせていただいたり、性につきましても、男性、女性ということ以外の性的指向だとか性自認といったこと、これも同じようにクローズアップされている課題でありますので、今回はそうしたことなどにも挑戦的に書かせていただいております。
ぜひ、こうしたことを一つの我々の基本指針として、今、由田議員がおっしゃるような、いまだに起こっている残念な事象、追いかけてくるような、そして暴き出して、その方の生活を脅かすようなこと、これがないように全力を挙げていきたいと思いますし、そういう言わばしなやかな包容力は我が鳥取県にはあるはずだと思っていますので、多くの方々の深い賛同と理解が得られるように啓発活動、あるいは教育等を進めていければというふうに考えております。
先ほどのエピソードをお伺いして、私もちょっとうろ覚えであれですけれども、中学生の頃、島崎藤村の「破戒」を読んだことを思い出しました。最後のラストのところで、みんなから愛されていた人が、言わばそういう戒めを破って自分の出身というものを明らかにしてしまう。それによっていわれなき差別を受けて、結局は退場させられるという非常に社会性のある小説だったことを思い出しました。あの時代のみならず、今の時代でもそういうことが繰り返されていることに戦慄を覚えるわけであります。今回のこの新しい計画づくり、あるいは条例改正の契機に、私たち皆で正しくみんなで共に生きていける、そういう社会というものを目指してまいりたいと思います。
足羽教育委員会教育長答弁
由田議員から重ねて私のほうにも、この問題に関しての所感といいますか、思いをということでお尋ねをいただきました。
今、知事のほうと由田議員さんとのやり取りを聞いていましても、この部落差別問題の重要性、そして、その解決に向けた思いの非常に強さというのをお二人のお言葉から感じたように思います。我々としましては、それをどんなふうにして学校現場の子供たちに、過去の歴史の問題ではなくて、今なお明らかに現存する問題であるということの認識をしっかり伝えていくこと。そして、もちろん指導する教員がその認識に立って、過去の問題ではないよ、今なお鳥取県でも、そして全国でもこうした問題、差別に苦しんでいる方々がいらっしゃること、それに対して、君たちはどうする、何ができる、今後どう生きる、そうした心から呼びかけをしていく、そういう指導が必要ではないかなということを強く痛感をいたしました。
そして、もう1点、この部落問題にかかわらず、安易な情報発信がSNS、インターネット、GIGAスクール構想もスタートしましたが、そしてまた、スマートフォンを中学生が6割も持っている。高校生はほとんど持っている。そんな中で、情報発信の持つ意味と危険性、これが本当に問われていく社会がもっともっと強まっていくのだろうなということを、今回のこの裁判事例から見ても、感じたところでございます。こうしたモラル、あるいは情報を扱っていくリテラシー、そういう言葉ではなくて、そうした情報発信の持つ意味をこの部落差別問題も絡めながらしっかり学ばせていくこと、そして、その上では、議員御指摘のあったように、実態から学ぶという実感性を伴った学びである、そのためにどうするかということを部落解放同盟の皆さん方とも意見交換する中で出てきたところでございます。ぜひそうした重みを心に届けられる、そんな学びに変えていけたらなというふうに思っているところでございます。
質問
ありがとうございます。知事、ありがとうございました。教育長、ありがとうございます。
よくよく分かりました。ぜひ今の教育長の方向性で、県内の各市町村教育委員会等を通じて発信していただければというふうに思います。
それでは、琴の浦の高等特別支援学校について、時間はありませんが、何点か質問します。要点のみで御容赦ください。
先ほど、学びのことについて伺いました。確かに、そうです。これは、次の機会にします。
養護学校、琴の浦の1学年の定員40人ね。それで、入試、選抜入試というそうですが、40人の根拠をちょっと教えてください。
それと、2学科6コース、生産流通科、サービスビジネス科、あとコースがそれぞれ3つずつあるわけですが、これを選んだのはどういうことなのでしょうか。そして、東・中・西の地区ごとの生徒数、及び通学、あるいは寮があるわけですが、入寮状況について通告していましたので、簡単に御答弁いただければと思います。
足羽教育委員会教育長答弁
由田議員から重ねて、琴の浦高等特別支援学校についてお尋ねをいただきました。
3点ございましたが、まず1点目の40人の定員については、学校設置前の平成22年に中学校における特別支援学級や、あるいは当時の特別支援学校における保護者の意向調査を行いました。その結果や、全国に既に設置してある全国の高等特別支援学校の状況等を勘案して、この40人を設定したものでございます。そうしたニーズの状況でありますとか、目指すのが、就労に向けた意欲ある、そして一定の学力が必要であるという、これは全国的に同様ですが、そういう状況から、入試を行う。これは、全国の学校が全てそうなっております。ただ、本県では、平均倍率が大体今、平均して1.1倍、今年度もちょうど40人の1.0倍でございました。大体そうしたニーズに合致した入学定員であり、入試になっているのではないかなというふうに思っております。
2点目、2学科6コースですが、これも同様に、この学校を設置する際に、当時の生徒たちがどんな分野に就職をしていたのかということや、当時の状況、企業ニーズ等を勘案して、今の2学科6コースを設置したものでございます。ただ、もちろんこれは時代や社会の状況によって変わっていきますので、今後必要であれば、そうしたことの変更も柔軟に検討する必要がございますが、それに向けた施設や設備、指導の関係ということも併せて検討する必要があるかなと思っているところでございます。
3点目は、各地区の生徒数、通学者ですが、今年現在、東部からは37人、中部からは28人、そして、西部からは48人の生徒さんが入学しておられ、入寮者は東部で13人、中部で1人、西部で10人という状況になってございます。
質問
りがとうございました。よく分かりました。25年開校ですから、22年ぐらいからいろいろ議論を重ねて、定員が決まったというふうに、これは分かります。ただ、私が危惧するのは、県内1校の学校の選抜入試。その裾野は、例えば同じ養護学校だとか、各学校で支援教室におる児童生徒と言ってもいいのでしょうか。そこで担当の先生などが、これは無理であるとか、大丈夫だとか、そういうようなことで私は、この9月議会で島谷議員さんが言われていた、この共生社会をつくる上で個性や能力をどう引き出すか、あのパラリンピックを見て、そのような感想を持って知事と議論していたのを見て、今回それにいわゆる触発されてというか、そういう思いで今回したのです。入試の是非までいきたいなぐらいに思っていますけれども、やはり広く門戸を開くべきではないでしょうか。そして、今聞けば、中部が一番少ない。西部、東部、私の調査、琴の浦の校長先生のお話を二度ばかりお聞きしに行きましたけれどもね、もう6時半ばぐらいの列車に乗って学校に来ている生徒もいる。そういう通学の状況の中で、本当に今、障害者に対する法整備、これは配慮になるのでしょうかというような気持ちになります。
それとあわせて、このコース、学科についても、1か所琴の浦で専門的な能力を持った先生を迎え入れると大変です。やはり分校だとか、新しい学校の建設も私は視野に入れるべきだろうと思っています。もうそこらも含めて、今回、令和8年からの学校教育のこと、10月にたしか答申も既にされていますよね。やはりそういうところで議論を深めておいてほしかったなというふうに思っているのです。やはり改めて新しいこの高等特別支援学校、高校、やはり考えてみる機会だと思うのですが、教育長の所見を伺います。
足羽教育委員会教育長答弁
由田議員から重ねて、琴の浦高等特別支援学校の在り方についてお尋ねをいただきました。
先ほど申しましたとおりですが、この高等特別支援学校が目指すものは何なのか。つまり、それは子供たちにとってここはどんな学びを提供できる場なのかという、やはりその根本的な在り方をしっかりと確認、そして、今後も確かなものにしていく必要があろうというふうに思っております。1つには、働く能力、意欲、そして、学ぶという意欲、能力、そしてもう一つには、社会参画をしていく。つまり、これが自立ということになろうと思いますが、そういうふうな人材をしっかりこの3年間であっても築いていくことが必要なのだということ、この理念をしっかり実現する一つのハードルが入試という捉えになってございます。向かってきている生徒、先日、由田議員も学校のほうを訪問いただいたというふうに伺っております。私も9月議会終了後に学校のほうを伺って、生徒さんの様子も見させていただきましたが、今私が申しましたような思いが、先生方の指導がしっかり行き届いて、生徒たちが本当に生き生きと、そして、自覚的に自分で動く、そんな姿が学校内で随分見えたと思っております。そういう生徒さんをしっかり育てるためにも、その一つの意欲をはかる場としての入試というものを設定しているところでございます。
また、東部からの通学生、分校等についてのお話がございました。
私も、確かに智頭のほうから朝6時台の汽車で出発してという生徒さんがいらっしゃることはそのときにも伺ったところですが、そういう生徒さんのためにも、ここには寮を設置しているわけですが、中にはやはり支援が必要であるがゆえに、寮生活になじまない子供さんもいらっしゃることは確かであろうということを思っております。
ただ一方で、寮の中で共同生活をする、集団生活をして、ルールや、そして友達と切磋琢磨する、これも社会の自立に向けた大切な学びが寮にもあろうかなと思います。なじめない生徒さんに無理やり入れというわけでは決してございませんが、そういう寮を十分に活用していただくということと、分校、あるいは新たな学校をもう1校となれば、その体制なり、あるいは設備もしっかり整えていく必要があろうと思いますので、今々ということには当然ならないかと思いますが、今後の長い将来に向けた一つの展望の中に置いておいてもいいのかもしれませんけれども、今現状として、分校設置ということまでは考えておりません。いずれにしましても、そうした子供さんの実態に合わせながら、適切な指導ができるよう、今後も努めてまいります。
質問
ありがとうございます。
あと、離職率だとか就職率だとか、そういうようなことを質問する準備をしていて、実は就職率、あるいは離職率、それに伴って、学校関係者がその人に対して、もう就職しているわけですから生徒ではないですね、その人に対しての再就職のあっせんまですごいフォローをしている。本当にもう頑張っているなというところも褒める質問を準備していたのですが、時間がありませんでした、申し訳ありません。先ほどのことも含めて、私もそう議員として長くないのですが、残された部分について、さらに勉強して、提言をできるように準備を進めたいというふうに思いますので、これからもよろしくお願いします。終わります。