令和2年2月定例会 一般質問

質問

 無所属の由田であります。
同和行政について質問をさせていただきますが、知事には大変失礼ですが、質問順番を変えてインターネットについて質問をさせていただきます。

インターネット上の差別事件の背景と行政の課題について

インターネット上の差別事件の背景と行政の課題について伺います。
県内においては、部落探訪として県内被差別部落5カ所を鳥取ループ・示現舎が訪れ、記事やそして写真が掲載をされています。その内容はというと、核心的な内容で部落を暴く行為を行っており、これは身元調べ等に悪用される危険性があり、断じて許すことができない事件であるというふうに思っていますし、またそれがさらなる差別を誘発し、あおる行為が今野放しになっている状況であります。私が考えるに、被差別部落に発生する差別事件を解決する前提は、やはり正確な事実認定を最初に行い、その事実の中にある差別性や問題点を明らかにしながら、その事件の背景や原因を分析しながら方針を定めていく、そのことなしに部落差別の解決はないというふうに言われています。
知事も昨年6月に私が一般質問をした際に、このネットを使った差別事象を悪質性があって問題視していると述べられています。このそれぞれのネット差別のいわゆる背景、あるいは原因について、知事はどのような御所見を持っているのかお伺いをいたしますし、山本教育長にもこのネット上の差別、人権侵害、いわゆる学校教育、社会教育のその責任者として、この事象の裏にある原因や背景について、教育長の所見をお伺いをいたしたいというふうに思います。

ハンセン病元患者及び家族に対する支援について

さらに、家族補償法の支援事業については、議員立法だったでしょうか、昨年11月に法律が誕生して、本県において家族の支援事業を行っているというふうに伺っています。その現状報告についてお伺いをして壇上からの質問といたします。

家族補償法の支援事業について

そして、3番目に、再犯防止についてお伺いをいたします。
法務総合研究所が昭和23年から平成18年まで58年間に犯歴のある100万人を調査し、その結果、人数において全犯罪者の3割である再犯者が、件数においては全犯罪の6割を実行している状況が明らかとなりました。そのためにも、一度犯罪を犯した者による犯罪をどのように防止するかは、犯罪対策上重要な課題となっているというふうにお伺いをいたします。 また、県警本部犯罪統計書によると、平成30年では成人の刑法犯は総数782人の検挙数で、そのうち再犯者は241人であると伺いました。再犯率は約3割であります。鳥取県では、平成28年12月、再犯防止等の推進に関する法律を制定され、30年4月には鳥取県再犯防止推進計画が定められました。
そこで、お伺いをいたします。鳥取刑務所に入所した再犯者の7割が無職であるということをお伺いし、この再犯防止には就労の確保が最重要であるというふうにお伺いをいたしております。この鳥取県の取り組みはいかにされているのか、お伺いをいたします。
さらに、出所者の約半数が帰住先がない者であるとお伺いをいたしました。身元引受人のない者の対応等、親族の支援を受けられない者に対しての支援策をお伺いいたします。

知事答弁

 

由田議員から人権問題につきましてお尋ねがございました。
まず、部落差別につきますインターネットにおける事象についてでございます。
これについては由田議員も議場の中でも取り上げてくださっており、私どもも市町村等とも協力をしながら、今モニタリングなどをして、そうした対策を始めてきているところでございます。これについては、今おっしゃるような部落探訪というそういう記事がインターネット上に出るようになってきました。私も拝読させていただきましたけれども、どういう問題があるのかということでありますが、その背景として部落差別は解消されなければならないものと法律上も決められているものでもございますが、残念ながらそれがそのサイトでは実現できていないと。やはり心の病のような状況であろうかなというふうに思います。これを治していかなければいけない、そういう意識改革が今なおこの国において終わっているわけではない。そのことが背景としてあるのではないかと思います。サイトを掲載する人もあれば、それを見ていく人たちもいると。これが社会の現実なのかもしれませんが、こういう悪循環を断ち切っていかなければいけない。これについては、国を挙げてやっていくべきものだろうというふうに思います。
実はこのようなこと、かつては「部落地名総鑑」みたいなことがありまして、その復刻出版みたいな話がございまして、平成28年の2月に運動団体とも話をしながら当時やっておりましたけれども、そういうことがショッピングサイト上に掲載されていると。それで私どもは通報を受けましてそれを調べてみると、確かにそうであり、それでこれは法務当局のほうに我々も対策を要請しました。その後、すぐにショッピングサイトでは書籍は削除されることになりましたが、その後も仮処分をやったり訴訟になったりしているわけでありますが、サイトへの掲載とかインターネット上の掲載とか、それから出版の差しとめだとか、今まだこれは裁判上動いているところでございますが、ことごとく仮処分としてはこちら側の申し立てのほうが受け入れられていると、こういう状況であります。
出るところへ出て裁けばそういうことになるということなのかもしれませんが、本来こういうことが起きてはならないわけでありまして、根っこが絶たれていないことに正直、危惧を覚えるわけであります。実はこれはここに始まったものでもなくて、もっと前からインターネットを通じた非常に心ない掲載がなされている。中には県や市町村、特に市町村で同和対策事業をこれまでもやってきましたが、そういう事業箇所をネットに掲載することによって、その地区というものを出していくという、そういう手の込んだこともしたりし始めています。これについては、私どもも抗議をするわけでございますけれども、何せグーグルみたいなサイト上でされているわけですよね。それで、グーグルのほうに掲載をこれは削除しろということを言っても、なかなかこれは応じてくれないと。しょせん外国の会社だということもあるのかもしれませんけれども、そういうことでらちが明かないものですから、これは制度に問題があるということで、国のほうにも申し上げていったわけであります。
それで、今ではそうした事象にある程度法務局のほうも相談に乗ってくれるようになってきているところでありますし、部落差別解消法も制定をされたりということにもなってきていますが、ただ、現実の実態はなかなか大きく変わるところまで至っていないのかなというところでありまして、実効性ある措置が、これは都道府県の条例等でもどうしようもないところでございまして、やはり国の法律としてこういうようなことは結局表現の自由との関係が出てくるわけですね。憲法上の問題が絡んでくるわけでありますので、そういうところで、やはり法律上、何らかの措置をするとか、ある程度そうしたインターネットのICTの会社のほうに強制権を持って、そういう対策をとれるというような何らかの制度が本来必要なのではないかなと思います。
この点は私どもも毎年のように国に対して要望をしているというのが実情でございますが、粘り強く社会全体の意識改革、それからこういう心ない行為に対する実効ある措置、こうしたことを国に求めたり、我々できる範囲のことはやっていかなければならないというふうに考えております。
また、ハンセン病につきましてお尋ねをいただきました。これにつきましては、私どもは全国に先駆けて里帰り事業を始める等、歴史的にはこの問題に取り組んできたところでございます。
現在、どういう事業をしているかということでありますが、毎年決まってこれは職員の訪問事業ということをいたしたりしています。ただ、最近は向こうのほうで受けられないという事例も出てきています。これは結局どういうことが起こっているかというと、だんだんお年を召してくるわけですね。それで、例えばこちらの里帰り事業ということも毎年御案内もしていますけれども、来られる年もあれば、正直、なかなかもうお年も召して一定健康上の問題があってはいけないなとか、当然御夫妻で今余生を過ごされているところとかがあったりしますので、そういう御家族との関係を考えると、ちょっと控えておこうかなとか、我々はいろいろとお勧めをしたり、それのコース設定などもお手伝いをするのですけれども、残念ながら最近こういうことが来られなくなっているという実情もあります。
また、大切なのは、ハンセン病の問題ということを後世に伝えていくことでありまして、このことについては、小中学校などのそういうハンセン病問題についての学習の機会、こういうものをつくったり、また、パネル展示等々の啓発事業を行ったり、こうしたことは私どももずっと継続して続けてきているところでございます。
今後もこうしたことを風化させることなく人権の大きな課題として、また当事者がおられますので、その当事者と正しく向き合っていくこと、これを怠らずやっていく必要があると思います。
私自身も平成19年に就任しまして、その直後にハンセン病の碑をつくろうというお話がございました。平成20年のことでありますけれども、そういう募集をされる方々とお会いをして、全面的に協力しましょうと、県としてもそういう募金活動に協力をさせていただくこと、それから場所も一等地を用意させていただいて、とりぎん文化会館の正面のところで誰しもが目にするところにハンセン病の反省の碑を建てさせていただくことになりました。関係者の方も当時、加賀田さんも来られたと思います。大変に喜んでおられました。鳥取県の取り組みというものに対して、真っ正直に取り組んでいますので、そのことは評価していただけたかなと思います。私自身も愛生園等、平成25年ですかね、お伺いをさせていただいたこともありますし、今後とも丁寧に対策を進めてまいりたいと思います。
それで、お尋ねのハンセン病の御家族の救済等も含めた新しい法律についてでありますが、その法律の施行される前から私ども相談窓口をつくらさせていただき、現実にも今7件ぐらい御相談が来ています。それが救済に結びついたかどうかについては、この点は厚生労働省が私どもには開示してくれないことになっていまして、その後の結果についてはちょっと我々としてもわかりかねるところでございますが、そういう形で救済手続、あるいは一般的な御相談も含めて窓口で対応させていただいております。

教育委員会教育長答弁

 由田議員の一般質問にお答えを申し上げます。

 私のほうには教育におきますネット差別事件の背景の認識と取り組みということでお尋ねがございました。インターネットは名前等を明かさなくてもよい匿名性といったこと、あるいは時間と場所に縛られない容易性、そしてまた、たくさんの人に一度に広めることができる拡散性、そしてまた、長期にわたって一度出た情報が消えないという持続性、そうした特徴があろうかというふうに思います。
先ほど知事は心の病という言葉を使われましたが、そうした中には、こうした特性を悪用して確信犯的に人権侵害を行うという事例も発生しているわけでございますが、一つやはり意識の部分というものがこうした背景にはあるのではないかなというふうに思っております。
また、インターネットを使う子供たちの意識について考えてみますと、例えば学校であったり家庭であったり、そうした生活の中で生じる不満だとか不安、そうしたことを面と向かっては言いにくいのだけれども、インターネットの中では安易に発信をしてしまうといったこともあるわけでございますし、また、現実社会では許されないとわかっている差別行為でも、インターネット上ではこのくらいはやっても許されるのではないかといったような安易に判断レベルを下げてしまうといったようなことも考えられるわけでございます。
大切なのは、まずは子供たちの人権意識をしっかりと高めていく、ここが基本であろうというふうに思っておりまして、昨年度末に指導用の参考資料を新たにつくりまして、学校の指導力を高め、子供たちの人権意識を高めていく、そうしたところを強化しているところでございます。
一方、インターネットの使い方というところでのメディア・リテラシーと言われる教育も大事ではないかなというふうに思っております。電子メディアのつき合い方の学習ノートなどをつくって、これは親子で学んだりというようなことを今進めておるわけでございます。一つ例を参考までに申し上げますと、鳥取市の千代南中学校というところがありますが、ここでは情報モラルに関するアンケートを行って、そうした中で、生徒がSNSなどのトラブルで学校生活の中で不安を覚えながら過ごしているような、そうしたアンケート結果が実態としてあらわれてきているということを、まずは学校の子供たち、そしてまた教職員、保護者の方が共有するというところから始めて、これは生徒会が主体となって、PTA、地域、あるいは域内の小学校を巻き込みながら、悪口であったりからかいであったり、いじめをなくしていこうというような学校プロジェクトを立ち上げて取り組んでいくといったような例もあります。こうした取り組みをいい例として県下の学校にも広げていきたいというふうに思っております。
今後とも子供たち、児童生徒、そしてまた地域の方々を含め、人権意識を高めていくような取り組みにあわせて、このメディア・リテラシーにもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

再質問1

 ありがとうございました。
まず最初に、同和行政から再質問をさせていただきます。
知事の認識のとおりだと私も思っています。ただ、当事者として組織内でいろいろ意見交換や議論をしていく際に、やはり今回私が質問した趣旨は、確かにそういうネット上の人権侵害は許されない行為であるとしても、何も手が出せない状況にあって、そのことで被差別部落の仲間の皆さんは今後家族がどうなるかという不安を持っているわけです。行政の果たす役割ということはいかにあるかということを考えてみたいというふうに思ったわけであります。
県民が、被差別部落対象の皆さんがこういう生存権をも否定されるような差別事象に遭ったときに、行政はどういう役割を果たしてもらえるのか。批判を恐れずに言えば、平井知事の立ち位置はどこにあるのかということが、やはり問題になってくるというふうに私は思っています。確かにこの問題は思想信条や出版やそういう憲法で保障された自由に守られている、そういう側面があるのは感じています。しかし、一方で、そういう人権侵害は許されるということには私はならないと思っています。であるならば、何をしなければならないかということであります。
先般も6月議会でも少し触れましたが、鳥取県には人権政策確立要求鳥取県実行委員会というものが全市町村で組織されています。年1回、総会も開かれています。そこではこの部落差別解消に向けて、今自治体で何ができるのか議論しています。1番目には、16年に制定されたこの解消法を具現化していくにはどうすべきかという議論も始まっています。そして、その中でもこのネットの問題は直ちに解決はできない。この実行委員会は新たな運動方針として差別そのものを禁止しよう、いわゆる差別禁止法、そして人権侵害を受けた国民、その人たちには人権侵害救済法という法律をもって対向していこう。今まさにこの2つの法律の制定を目指して活動しているわけであります。
翻って本県を見れば、確かにその実行委員会には後援団体として鳥取県が上がっていますが、私は知事が先ほど申されたように、この問題にやはり知事として県民のいわゆる人権侵害を許さないという立ち位置を明確にすべきときが来ているのではないかなというふうに思うのです。すなわち、その実行委員会の実行団体に入って、そのことを通して県民に意識の高揚を求める、やはりこれが啓発です。そういう運動に立ち上がっていただきたいなというふうに思っています。感想をいただければというふうに思います。
そして、先ほどの答弁の中に、モニタリングのことが出ました。これも各市町村の担当の人から少し言われたことがあります。それぞれの市町村で独自にモニタリング調査を行うというのは非常に無駄だというか、効率的ではないとする意見があります。例えば県の一室でこのモニタリングを輪番制でやっていく、そういうことを考えていただければというふうに思っています。
以上、2点について、知事には答弁をいただきたいというふうに思います。
そして、教育長、先ほどの答弁で私もいいと思います。ネット上の人権侵害差別事象の考え方として、その背景には、例えば言われるように、匿名性だとか、あるいはもちろん先ほど言ったように、顔が見えない、匿名性と一緒なのですが、そういうことで安易に、やはりメディア・リテラシーという言葉を使って言われましたけれども、小中高だけじゃないのですね。大人もそういう差別行為、人権侵害を行っています。それらについての啓発というのは、僕は改めて大きな社会教育の課題であるというふうに思います。難しいことかもわかりませんが、この点について、例えば部落解放協議会ですかね、協議会等で議論をされて、ちょっと今名前が出ませんが、そういうところでの議論を少し紹介していただいて、答弁をいただきたいというふうに思います。

知事再答弁1

 由田議員から重ねてお尋ねがございました。

 まず、実行委員会の件があったかと思います。これにつきましては、そちらのほうでこのたび部落探訪削除の要求をされているわけでありますが、私どもも後援団体として位置づけられておりますし、当然ながら賛同をさせていただいているところでありますし、先ほど申しましたように、それとは別に私どもなりにも独自に行政活動もさせていただいているというふうに御理解をいただければと思います。
その実行委員会にメンバーとして入るかどうかというのは、それは決めていただければ全然問題なく入ります。ということです。これは実は済みません、多分御案内かもしれませんが、運動団体と県との関係の歴史がございまして、それで、我々は要求される側ということがあったようでありまして、私どもは要請行動の相手方でありますので、実行委員会の中に位置づけられなくて、その後、多分、後援団体として事実上は一緒に活動してきたという歴史があるのではないかと思います。あれは石田市長が多分会長をされているのだと思いますが、そういう市町村やあるいは関係団体でそういうふうに実行委員会組織を改めていただけるのであれば、県もぜひ、ともにこの運動に加わっていくというのがあるべき姿だと思いますし、実態は現実そうなっているというふうにまた御理解をいただければいいのではないかなというふうに思います。
そういう意味で、今後、運動展開について、関係者とお話し合いを、私どものほうからもさせていただきますので、由田議員のほうからもちょっと声かけをしていただけるとありがたいなというふうに思います。
また、インターネットのモニタリングでありますけれども、これは多分皆様もいろいろお気づきのことがあると思うのですが、当然ながらサイトにはいろいろなことが書かれるわけでありまして、それはあることないこと、正直、ないことがまかり通るのが結構インターネットの世界でありまして、これは削除してもらいたいということであれば、我々もプロバイダーのほうに文句を言ったりもするわけでありますが、そこでいつもせめぎ合いになってしまうのですね。ですから、こういうことがあるわけでありまして、非常に歯がゆさを覚えていて、多分何もできないのかというと、私は何かできるのではないかなという気がしています。
それは、議員もおっしゃいましたけれども、表現の自由というのがあり、憲法21条の中で表現の自由は認められているところであり、これは多分民主主義のかなめとして大切なものだと思います。ただ、それは無制限ではなくて、公共の福祉に反する場合は、それは行使が認められないことがあるわけです。例えば名誉毀損の罪というものがあります。これも表現の自由に対する限界の一つとして法的にも設置をされている条項でありまして、そういうような形で、表現の自由の行使とはいえ刑罰に触れることもあるわけですね。それから表現の範囲内ということでものりを越えるものがあれば、それは当然ながら民事上、損害賠償の対象になったり、我々が今やっていますけれども、差しとめ請求であるとか、あるいは削除請求であるとか、そういうものを、いわば人格権に基づいて私たちは行使し得る、これも確立した最高裁の判例の中で認められていることです。
ただ、これをやろうと思いますと、今現にやっていますが、地方裁判所から順番に訴訟を起こして長いことかかって、やっと削除される。削除されたと思ったら、今度はまた別のことを書かれる。こんなことのイタチごっこになっているわけですね。だからもっと手早くプロバイダーのほうでやはり問題があるものは削除してもらうようにしなければいけないわけでありますし、現にプロバイダーは自分の権限ではそれをやっているのです。ところが、そこに公益が上手にかんでいないのですね。日本という民主主義社会で表現の自由が厚く認められていることで、やむを得ない面も中にはあるのかもしれませんが、ただ、この問題に限っては単なる名誉毀損であったり、由縁のない差別でありまして、やはりプロバイダーもそこは当然ながら配慮した運用をしなければいけないと思うのです。それをなおしないというのであれば、これはやはり法的にも規制ということで、国としても何かやるべきだと思いますし、その意味で議員がおっしゃったように、人権救済の法手続だとか、そうしたこういう事象への対処方法について、国としての措置を我々は求めるべきだと思います。ぜひそういう方向でこれからも運動展開をしてまいりたいと思います。
あわせてネット上のサーベイランス、モニタリングでございます。これについては、実は同和対策についての協議組織の中でも議論をして、手順を踏んでやってきたところでありまして、昨年度はモニタリングのやり方について市町村と共有をし、それで市町村でもそれを始めて今年度ネットワークをつくって共同でやりましょうということになりました。そうではあるのですが、ただ、議員がおっしゃるように、いろいろまだ試行錯誤の段階だと思うのですね。新年度以降はどうするかということもあると思います。今年度を終わってみて、現状はどうかというと、今現実にやっておられるのは鳥取市さんぐらいで、あとの市町村はまだよくできないという状況です。ただ、鳥取市さんがされているモニタリングの中で、あるサイトがやはり繰り返し差別的表現を行っているということがわかってきています。こういうような情報というのを共有すればいいのかもしれませんよね。もともとネットワークはそういうつもりでつくってありますので、そういう能力を持ったところ、あるいは気がついたところで情報をお互いに共有して、共同してこういうものに対して立ち向かっていこうということになればいいのかなと思います。ですから今後の運用について、これは運動団体も入る協議会の中で議論をさせていただいて進めておりますので、ぜひ今の御提案の趣旨も含めて、実効あるそういう運用を今後も関係者と話し合ってみたいと思います。

教育委員会教育長再答弁1

 由田議員から重ねてネット差別につきましてお尋ねがございました。
啓発という意味では、今、地域懇談会というのが各市町村で展開されております。そうした場、あるいは啓発の資料ということで、今、関心の薄い層をターゲットとしたような少しわかりやすいイラストだとか漫画だとか、そうしたものも使いながら啓発資料をつくって、これはシリーズで展開をするというようなことをやっております。お話がありましたネットの特性なども含めて、こうした資料の中に改めて盛り込んでいったり、地域の懇談会の中でテーマとして設けて議論したりというようなことを、これから県の同和対策協議会の中でも議論しながら取り組みを進めてまいりたいと考えておるところでございます。

再質問2

 ありがとうございました。
知事、ありがとうございました。モニタリングのことなんですが、今、時期的に鳥取市しかできてないということであれば、ちょうどいいのかなというふうに逆に思っています。私が市町の方に聞いた中では、モニタリングを行う際に、セキュリティーの問題で専用のパソコンだとか、そういうものが必要で、なかなか人材も育っていないということもあったのかもわかりません。やれていない現実がある。その方たちが言うのは、出向いてでも県庁の中で、そういう執務室でそういうモニタリングができないものかというような御意見をいただいたわけであります。それぞれの市町村で専用パソコン、あるいは人、それは19市町村でするというのは無駄とは言いませんけれども、少し経費的にどうかなというふうに思ったもので、御提案をさせていただいたわけであります。
知事からは石田市長が会長としての実行委員会に参加する、あるいはそういう要請があればということで御答弁いただきまして、まことにありがたいなというふうに思っています。やはりそのことを通して、昨年5月だったでしょうか、知事が法務省に出向いて、これらの問題について要請行動を行っています。知事にどうこうしろということではありません。やはり県もその中に入っているということが大きな意味になるというふうに考えていますので、要請があれば前向きに御検討をいただければというふうに思います。
もう1点は、この問題の最後にということです。条例の制定についてであります。先ほど人権政策確立要求鳥取県実行委員会の中にでも、法律を具体化するためには、やはり県条例を求める声があります。県条例を定めていただいて、その後に市町村条例ということになるのでしょうか。そういう流れがいいように伺っています。前回6月の質問のときに、他県がこの法律を受けて県条例を定めたことについて紹介しながら鳥取県でもというふうに質問いたしました。そのときに知事は、その方法もあるかもわからないが、今ある既存の条例の一部改正を含めて議論をしていきたいというふうに御答弁をいただいた経過がありますが、それらについて、例えば先ほど協議会等にも伺ってみたいような答弁でしたけれども、その点について進捗があれば御答弁いただければというふうに思います。

知事再答弁2

 由田議員から重ねてのお尋ねがございました。

 モニタリングにつきましては、みんながやりやすい方法で、しかも実効性のある方法、市町村と共同作業ですので、探していくということで、今後、関係者とよく話し合いをしたいと思いますし、また実行委員会組織につきましても、謙虚に私どもとしても活動の支え役をさせていただきたいと思っております。
そして、条例についてでございますけれども、これにつきましては、今関係の調査をさせていただき、隣保館さんを通じて実情の調査をことし1年間させていただきまして、そこでいろいろと有益といいますか、なるほどなというような情報もいろいろと入ってきているということであります。ただ、それをもとに、また新年度には予算のほうを提案させていただいていますが、当事者団体が中心となって、そうした調査をさらに進めようというのを今計画をいたしておりまして、こうしたいろいろな実情の調査であるとか、また私どもで今進めています教育のことであるとか、それからこうしたインターネットへの対処だとか、こういうことをいろいろと進めながら条例のあり方、あるいは考え方についても議論を深めていくというふうに考えているところであります。
現状は今それぞれの県でもそれぞれ考えが進みつつあるところでございまして、国のほうの部落差別解消推進法ができ、その後、例えば福岡とか、あるいは和歌山が今やっていますが、また新しい動きも出てきているのは事実でありまして、その辺は今フォローアップをして我々も分析をしているところでございます。この課題につきましては、やはり議会のコンセンサスを終えないと条例というのはできませんので、各会派の考え方などもありましょうから、過去いろいろ人権救済条例で大変な騒ぎになったことも我々は経験しておりますので、皆様のそういうのをもとに我々としてもそうした検討は今後も進めさせていただきたいと思っております。
実は過去のいろいろないきさつを若干申し上げれば、平成8年に議員も御案内のように、人権尊重の社会づくり推進条例ができました。これは全国のいわばモデルにもなるような先進的なものでございました。この制定のときに基本方針というのを実は定めるわけであります。それが条例の5条に列挙してあるわけでありますが、条例の5条で基本方針に定めるべき内容として何を書くかという議論がありましたときに、当時、当事者団体の皆様のほうから強い要求があって、それで同和対策というのを基本方針の中に入れなければ個別の別の条例を要求するというお話だったわけです。それで、同和対策というのは実はその中に入れられたのですね。他県は同じような条例をつくっていても、同和対策というのを入れていない条例が後ほどできたりしていますが、本県の場合は同和対策がかなめ、出発点であるということで、それを基本の一つとして列挙をした中に組み込みながら、あの当時、人権尊重の社会づくり推進条例というのをつくりました。
その後、人権救済条例がいろいろとあって執行停止になるとかいう中で、相談のネットワークで解消していくというのもこの条例の中で、枠組みの中でつくられたりしておりまして、いわばこれが同和対策も含めた基本条例のような形になってきたといういきさつがあります。その辺が他県とちょっと違うところでございます。ただ、いずれにいたしましても、時事、年々歳々、こうした取り巻く状況も変わってきますし、その時々に応じた対策というのは、今もって必要だということは明らかになってきていると考えておりまして、今後もよく関係者と議論をさせていただきたいと思います。

再質問3

 ありがとうございました。条例については私も経過は多少は承知しているつもりです。その中にあって、平成17年に人権条例ができたときに、内外の批判を受ける形で執行停止というふうな条例が提案されて現在に至っている。私はその中にあっても、平井知事が求めたかどうかわかりませんが、検討委員会の中で、少なくとも東・中・西の中に人権問題の相談窓口を開設したということは大きな成果だろうというふうに思っています。

 条例のことに少し触れますけれども、16年12月に制定された推進法を具体化するためには、やはりネットも含めていろいろ、例えば平成8年、あるいは17年当時の社会情勢ではなくなってきているわけです。部落の実態も要求も変わってきています。その時代に応じた即応した条例をつくっていくことが私は肝心なのかな。法学者では法律をつくった段階でもうその法律は古くなっているというふうなことを言われる方もおられるわけでありまして、改正をしながらも、やはりそのときの情勢に応じたものを求めていくのが私は肝要であろうというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
それでは、ハンセン病について質問をさせていただきます。
今回の令和2年度のハンセン病問題、元患者、あるいは家族の支援事業についてですが、担当する私の常任委員会でありましたので、常任委員会でも少し質問をさせていただきましたけれども、やはり本会議で発言することが県民に広く周知、あるいは啓発という概念もあるのかなと思って、あえてここで質問をさせていただきます。
里帰り事業、あるいは訪問事業、予算を見れば総額が140万円余で、それには啓発事業として80万円とか、あるいは本県出身入所者支援事業が訪問事業、里帰り事業、伝統芸能派遣事業、合わせて52万円になっています。私が問題意識を持ったのは、これは片山知事のときだったでしょうか、そこから始まったかどうか定かではありませんが、ちょっと歴史がありますよね。どういう事業を重ねてきて今があるのか。知事の答弁では、やはり近年は里帰り事業を職員が行ってお訪ねしても、なかなか健康上の問題だとかという理由で里帰りも実現していない現実がある。あるいは訪問事業にしても、いや、結構ですというような答えが返ってくるというふうになっています。私はそこらあたりに何かこの事業を進めていく上で、ほかの内容を持った事業も考えていくべきかなというふうに思っています。近年の実績を示していただければというふうに思います。

知事再答弁3

  由田議員から重ねてハンセン病問題につきましてお尋ねがございました。

 近年の実績と詳細は健康医療局長の植木のほうからお話を申し上げたいと思いますが、これにつきましては、昭和30年代からそういう訪問事業を、それからまた里帰り事業というようなことを始めておりまして、本県はかなり古い県としてパイオニアでございました。ただ、議員もおっしゃったように、いろいろと先方の事情もあって、完全に実施できていない事業も出てきているということであります。
ただ、この事業の多分基本というのは、恐らく県も国の政策とはいえ、ハンセン病について隔離していくと。そしてそれが結果として大きな人権上の差別意識を呼んでしまったり、大変な悲しみを当事者の皆さんに与えてしまったこと、いわば加害者的立場に立ったと思います。そのことについての反省であり、またそこで失われた時間だとか、失われた喜びを取り戻す、それに鳥取県としては主体的にかかわっていきたいと、こういう理念があったと思います。それを営々として我々もやってきておりますので、今後も基本的な考え方は、やはり当事者の皆様の御意志に沿いながら寄り添って事業というのを考えていくことではないかというふうに思います。
なかなか例えば執行が難しくなっている事業も中には出てきておりますので、別の形があるのかどうか、また当事者の皆さんとも御相談をしながら、本当の意味で心でつながっていく、そういうふるさととしての役割を果たしていければと思います。

健康医療局長答弁

  ハンセン病の元患者及びその家族の方に対する支援につきまして、本県の出身入所者支援事業の詳細について補足の答弁をさせていただきます。
まず、この事業ですけれども、3本の柱がありまして、本県出身者の方、療養所の訪問をさせていただく事業と、それから里帰りの支援をさせていただく事業、また、伝統芸能の派遣事業の3本がございます。
伝統芸能の派遣事業につきましては、平成16年、一番新しく始めた事業でございますけれども、こちらにつきましては、県内の小学生や高校生が療養所を訪問しまして、子供の歌舞伎でありますとか傘踊りなど、伝統芸能を披露してまいりましたけれども、平成20年度実施以降は実績はございません。その理由としましては、小学生や高校生が活動していただきやすい土曜日、日曜日につきまして、療養所のほうでの受け入れが困難であるというようなことがまず事情としてございますし、また、御高齢になられて一堂に会して芸能を見ていただくということが困難になってきたというような理由があって、現在は実現していないという状況にあります。
また、療養所の訪問等の事業、これは鳥取県職員が療養所のほうに訪問いたしまして、健康状態でありますとか、里帰りの御希望などを丁寧に聞き取りをしておる事業でございます。こちらについては毎年度、職員が年度の早い時期に訪問いたしまして、御本人の健康状態にもより、御本人にお会いできない方もありまして、そういった方につきましては、職員の方から丁寧に聞き取りをさせていただいておりますし、もちろん御本人にお会いできる場合は御本人にお会いしまして、しっかりと御要望をお聞きしております。私が行きましたときには、本当に3時間程度しっかりとお話を伺いまして、御自身が入所なさってからの本当に人生、ずっと経緯をお話をされましたし、鳥取県に対する思いなどについてもしっかりとお話をお聞きしました。そういった中で、できる限りニーズにお応えしたいということで、ふるさとを思い出していただく、思いをはせていただくために、例えば鳥取県にはなかなか帰れないのだけれども、鳥取県の風景を見るのが好きだと、写真を見るのが好きだとおっしゃる方には鳥取県のカレンダーをお贈りするでありますとか、あるいは二十世紀梨がやはりお好きで食べたいとおっしゃる方、ただし歯がだんだん悪くなってきて梨自体が食べれないと言われる方については、加工したものをお贈りするとか、いろいろその方のニーズに沿った御支援ということをさせていただくということに取り組んでいるところであります。
里帰りにつきましては、平成27年から実現できておりません背景には、先ほど知事のお答えにもありましたように、御本人様の健康状態が一番でございまして、なかなか長旅がちょっと自信がない、あるいは本人は御希望されていますけれども、やはり御夫妻でどうしても鳥取にはお見えになりたいのだけれども、奥様のほうの健康状態のほうが思わしくなくてというようなことで実現しておりません。ただ、やはりふるさとへの思いをお持ちでありますので、できるだけの思いを受けとめて、実現ができるように、あるいは現在の事業で対応できていない、もっと新たな事業がありましたら、しっかりと御要望を受けとめて実現に向けて対応してまいりたいと思います。

再質問4

 ありがとうございました。

 本県がハンセン病元患者、家族の支援事業をするに当たって、議場を通じて県民の皆さんにもしっかり御認識をいただくためにあえて申し上げますけれども、やはり本県が国の政策に乗る形での無らい県運動をある意味優等生として実施をしてきた経過があります。県内に204名のハンセン病患者を無らい県ということで長島愛生園に県民から寄附を募って当時の知事が、当時のお金で6万円だったでしょうか、昭和5年につくっています。この5年はちょっと正確ではないかもわかりません。そういう中で無らい県運動で例えば人目を忍んで生活している人を市民が発見したら、直ちに警察に通報し、保健所、あるいは県の職員と一緒に長島愛生園に送致をしたというような歴史もあります。そういう事実があって、先ほど知事が述べられたように、このハンセン病元患者、あるいは家族の支援については、今全国に先駆けた取り組みを開始をされ、今実施をしています。バックボーンたる背景というものをやはり認識しなければなりません。
長島愛生園では、約160人の方が今生活をされています。平均年齢が86歳を超えています。平均在園年数、これが62年以上、平均です。中には11歳で、あるいは20代でそこにある意味収監されて現在に至っている。そういう人たちに思いを寄せるためには、やはりこの事業をずっとこれからも最後になるまで続けてほしいというふうに思うし、事業の内容もしっかり寄り添って入園者の意見を聞きながら新たな展開を、例えば里帰り事業が実現できなかったら、長島愛生園の半分以上は遺骨がそのままになっています。遺骨すら帰れない状況がある。この人たちには時間がない、そう時間がない。その間には知事が言われた入園者に対して気持ちを和らいでいただける、あるいは望郷の念をもっともっと持っていただく努力を県が率先してしていくというのは、私は大事なことだというふうに思います。
予算のことばかり言ったらいけませんけれどもね。たかが140万円ですよ。支援事業といったら50万円。入園者、患者から職員が信頼され、県民が信頼され、帰ってみようか、そういう思いにつながる支援事業であってほしいというふうに思っています。この予算で足りないようなことになれば、専決であるとか流用、それは目内の中ですけれどもね、流用等、本当に入園者の方に沿った事業展開を求めて、最後に感想をいただいて質問を終わります。

再答弁4

 由田議員から重ねてのお言葉がございました。これにつきまして、議員のほうから今非常に胸に突き刺さるような御質問、御意見をいただいたところでございまして、そのお気持ちを大切にさせていただきながら、また新年度早々に職員が向こうに参りますので、本当の意味で皆様が必要としている事業、それから私どものお手伝いできること、これをよくまた話し合いをさせていただきまして、予算の執行につきましては柔軟に対応させていただきたいというふうに思います。

 とりぎん文化会館の前に碑が建ててありますが、帰りなん、いざというような、そういう望郷の思いというものがそこに残されて、天を向いて建っているわけであります。加賀田さんが当時お見えになって、本当ににこやかにされまして、やはり鳥取というのがこの皆さんの非常に残念な過去、歴史、非常に厳しい思いがあったにもかかわらず、今も大切なふるさととして思いを続けておられていることに感銘を覚えたことを思い出しました。ぜひともそうした皆様の人生、これから最後にしっかりとした花を開いてというタイミングだろうと思いますが、それにふさわしい人生が送れるように私どもも全力を尽くしてまいりたいと思います。

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