質問
いよいよ最後となりました。あと40分ばかり御辛抱いただければというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。
倉吉から選出をされました由田でございます。もとより本来、自分の役割を十分自覚しながら、藤縄議長を初め議員の皆さんの御指導をいただきながら、さらには平井知事を初め執行部の皆さんもどうぞよろしくお願いを申し上げます。
部落問題について
そうしますと、通告に従って質問をいたします。初めに、本県の進める人権政策のうち部落問題について伺います。
2016年の12月16日、部落差別の解消の推進に関する法律、部落差別解消推進法が制定をされました。この推進法の最大の特徴は、現在もなお部落問題が存在をして、差別があることをこの法律の中で認め、公式に認知をしたことにあるというふうに言われています。部落問題の解決を目的にしたこの法律は、部落差別解消推進法が初めてであります。
皆さん御案内の1969年、昭和44年の同和対策事業特別措置法、その後の改善対策事業、そして地対財特法は、いずれも部落の同和対策事業の目標を定め、その地域を指定し、その地域の中に住む被差別部落民の生活の安定を求めた法律であり、今回の法律は、改めてその目標が部落差別にあるということを限定したもので、いわば当事者からすれば画期的な法律であるというふうに思っています。
この法律は、理念法であります。具体的な施策や予算措置は講じてありません。では、何をすることが部落差別解消につながっていくのか。ここから議論をスタートさせなければならないと考えています。この間、2年6カ月が経過をいたしました。この議場で多くの先輩議員がこの問題を質問をされています。質問と答弁は、私も拝読をさせていただきました。その上で、私の立場で知事に質問をいたしたいというふうに思います。
この法律は、国の責務、あるいは地方公共団体の責務がうたわれています。地方公共団体は、その地域の実情に合わせて政策を講じる、そのことが規定をされています。本文を読み返せば、ある意味、努力規定であるかのごとく、法律の中身は文字として書いてあります。しかし、これは私の解釈では、2000年の平成12年だったでしょうか、地方分権一括法により国と地方が対等になった。国の法律を地方に押しつけてはならないという前提の中で、努力規定になったというふうに私は解しています。今回のこの法律をもとに、平井県政が本県における部落差別の実態をどのように認識をしておられるのか、まず初めにお聞きをしておきたいというふうに思います。
そして、この法律は4条、5条、6条の中で、いわゆる相談体制の充実、あるいは教育の啓発、そして6条では実態調査にかかわる事項が定められています。この4条、5条とも相談体制の充実及び教育の啓発については、地域の実情に応じて地方公共団体が実施をするというふうに定められています。文言から言えば、努力規定ではありますが、平井知事はこの相談体制の充実、教育及び啓発について、どのような認識をお持ちなのか、最初にお伺いをいたします。
そして、6条では、部落差別の実態にかかわる調査という項目があります。これは本来、国が主体を持って地方公共団体の協力を得て調査をするというふうになっていますが、地域の実情に応じたそれぞれの施策というものは、差別の実態を調査をすることから始めなければなりません。この6条について知事の見解も伺っておきたいというふうに思います。
中山間地の課題について
次に、中山間地の課題について伺います。
この問題の趣旨は、私が市議会議員の時代、中部地震、そして昨年の9月30日、10月1日のあの台風24号被害を受けて、地域の住民から寄せられた声をもとに今回は質問をさせていただきます。
河川の維持管理について
初めに、県管理の河川の維持管理について伺います。
近年は河床が上がり、24号台風の際には水位が上昇をして、大きな被害が出ています。流木対策を含めた河川管理の現状について伺いたいというふうに思います。
自宅裏山の崩落対策及び復興の現状について
次に、自宅裏山の崩落対策及び復興の現状について伺います。
昨年の24号台風の被害の中で、住宅裏の崖が崩れ、復旧工事、崩落対策等、県の単県斜面及び県の補助メニューの中で、極めて基準が厳しい中で、この対象住民は多く不満を持っておられます。例えば事業費が100万円以上、あるいは補助率について使いにくい補助事業であるというふうに指摘もされています。これらこの基準の緩和について、どのようにお考えなのか伺っておきたいというふうに思います。
空き家対策について
そして、3番目に、この中山間地域の人口減少、あるいは空き家対策について質問をいたします。
本県の空き家対策、主なものの取り組みと、そしてその成果を伺って、壇上での質問を終えたいというふうに思います。
知事答弁
由田議員の一般質問にお答えを申し上げます。
これまでも倉吉市の市議会のときに、ちょいちょいお顔も合わせていただき、いろいろと御指導をいただきましたが、これから新しい県政の舞台に立たれましたことをお祝いを申し上げたいと思います。ぜひともに今おっしゃった人権のこと、あるいは中山間地のことなど、地域の課題にともに向かってまいりたいと思います。
まず、部落差別解消推進法に関連しまして何点かお尋ねがございました。部落差別の現状や、対応についての所感、あるいは解消法の4条、5条、6条といったようなこと等々につきまして、そうした人権問題、果たすべき役割、課題等々お話がございました。
これにつきましては、今、鋭意進めているところでありますけれども、議員もおっしゃったように、ごらんいただいたそうですけれども、この議場でも大分、この新しい法律を受けて、県としてどういうふうに進めていくのか話し合いをさせていただきまして、当事者団体、部落解放同盟さんとも協議をさせていただいたりしまして、今、鳥取県独自の進め方をしているところでございます。
この部落差別解消推進法につきましては、議員がおっしゃるように、今なお差別事象が解消されているわけではないと。そのことを国として確認をしたこと、またこうした事柄に対しての基本的な指針、理念が書かれている、そういう法律だということでございまして、それを我々がどういうふうに受けとめて実行に移していくかということだと思います。
現実の最近の状況からいきますと、実は私どものほうでも4条、5条、6条というお話がございました。この4条、5条、6条のほうでそれぞれ相談体制、あるいは教育啓発、また調査、調査については努力義務ということではございますけれども、そうしたものを受けとめて、今やらせていただいていることは、実は同和対策の協議会のほうのメンバーをまた拡充をさせていただきまして、当事者の方にも数多く入っていただくようにし、そういう機能性を高めて、実際にこれからその4条、5条、6条に書かれているようなことを念頭に、どういうふうに進めていくのかということをしているところでございます。
実は相談体制、4条の関係では、鳥取県では東部・中部・西部に、この同和対策についての相談窓口を設置をいたしました。ここに専門の相談員も配置をしておりまして、そこで随時相談を受けさせていただいています。
5条の、啓発教育との関係では、例えば学校現場で使っていただく教則本、こういうような問題、課題があって、こんな例がありますよと。これについてはこういうふうに児童・生徒に教えていただいてはどうだろうかと、こういう教え方の本といいますか、そういう冊子をこのたび作成をさせていただいたところでございまして、これでモデル的なカリキュラム、教育にも生かしていただこうということをさせていただいたり、あるいはポスターをつくりまして、そういうもので啓発活動を行ったりということを具体的にいたしているところであります。
また、調査はこれは国のほうが今、調査を計画をされていることは御高承のことだと思います。それを横で我々もどういうふうにこれから設定されるのかなというのを見ているところでございます。ただ、そうもばかりは言っていられないので、隣保館が一時的な接される窓口になりますので、そういう隣保館などで実態の調査をこのたびさせていただいたところでございました。今後もこのような形でいろいろと実態把握には努めていく必要があると考えております。
そういうところで見えてきた、最近でもこういうことがあるのだなというような課題が、例えば隣保館との関係だとか、そこで聞こえてきた話とか、それから相談窓口で相談に寄せられたことなどございます。
例えばホームページがございます。そのホームページの問い合わせフォームというのがあります。ああいうところで実はメッセージを送り込むことができるわけですね。その中に、残念ながらその差別的な事象が入っていたということでありますとか、あるいは、実は隣保館さんといろいろと調査をさせていただきますと、正直、隣保館でも相談件数は大分減っているということはおっしゃっていました。
以前よりはやはりそういう事象の変化、実態が落ちついてきているというのはあるのかもしれないという言葉は隣保館サイドからも伺ったのですが、そうであっても例えば結婚についてのいわゆる結婚差別という事象がございますけれども、これがなかなか表面に出にくいということをある隣保館ではおっしゃっておられました。実際、相談があったような事例でございますと、大分結婚して日がたった後で、そこで自分としては驚くような言葉と出会うというようなことがあったということでございまして、なかなか家庭内の問題というのはそういうように展開がされるのかなというふうにも思われるところでもあります。
このようなことで、決してその差別事象が消え去ったとも言えない以上は、これも社会的病理でありますので、その社会的病理を修正して正していくと、そういうような活動はやはり地域としてやっていかなければならないのではないか、こういうように認識をさせていただいているところであります。
鳥取県の場合は、人権尊重社会づくり条例という条例を平成8年につくりました。これが全国で初めてのこの種の条例でございまして、我々、関係者として解放同盟さんもそうだったと思いますが、一つのプライドとして考えてきているところでございます。こういうようなことの中でもいろいろと活動を重ねてきた結果、鳥取県はある意味、男女共同参画のことであるとか、あるいは外国人の問題や障害者のこと等々に、こういう部落差別問題、同和問題から、同和対策から端を発して、そうしたところに人権尊重の社会づくりというのが広がってきていると。それが私どものふるさとの一つの大きな財産になってきているのではないかなというふうに思っているところでございます。今後とも新しい法律もできたわけでありますし、襟を正してなすべきことに地域を挙げて取り組んでいければと考えております。
次に、河川につきましてお尋ねがございました。
これにつきましては、河道掘削、それから樹木伐採、この辺につきまして今回、重点的に予算を入れさせていただきましたが、倉吉市の場合は、かなり忰谷とか、あちらこちらで大分傷みました。やはり雨が相当激しく降って、24号のときも交通が途絶して、一時孤立した集落もございまして、全部の復旧にはまだ至っていないということでありますが、ただ、その原因としていろいろと考えられるのは、やはり日ごろからそうした河川の手入れもしておかなければいけないということなのだろうと思うのです。
このたび思い切って3カ年で国のほうの事業も出てきましたので、重点的に取り組んでいこうということにさせていただいたところでございまして、我々のところでは河積の阻害率、これにつきまして、20%で河道掘削、それから30%で樹木伐採というような基準で運用しているところでありますが、改めて点検をさせていただいて、必要箇所について、今回予算計上をさせていただいたところであります。
もちろんこれで3年間で終わりということには多分ならないのだろうと思います。今後も引き続き残った箇所等を、例えば起債事業などもございますので、そういうことで対応していくとか、順次手をつけていかなければならないというふうに考えております。
崖崩れにつきましてお尋ねがございました。これについては詳細、県土整備部長のほうからお答えを申し上げたいと思います。
急傾斜地の崩壊対策など、これはもともと国の事業がございまして、そういう足らざるところを都道府県のほうでも補ってきています。本県の場合はそうした流れの中で、その一定の要件の中で運用させていただいておりまして、今、中国各県比べてみて、本県が多分一番手厚い形にはなっていると思います。
ただ、それでもやはり不断の見直しも必要でありまして、最近ですと、平成24年に東日本大震災の実情ということもございまして、この急傾斜地崩壊対策について要件の緩和をさせていただいた部分もございました。いろいろと今後も、これは実は市町村とも話し合わなければいけないことでございまして、今後とも現場の状況を見て検討をさせていただきたいと思います。
最後に、県の空き家対策につきましてお尋ねがございました。
これは本議会でも質問があったところでございますが、特に中部地震がありまして、倉吉など問題が顕在化したところでございました。再調査をしていただきまして、この中部地震関連では、42件ほど危険家屋の除却にまで進みました。全体で100件ぐらいですね、本県全体ではこういう除却に進んでいるところでございます。
前も答弁させていただきましたけれども、これについては空き家の活用についての協議会を司法書士さんだとか、宅建協会さんと一緒につくらせていただき、そういうところでシンポジウムをやったり、マッチングをやったりということをし、また県と市町村とで協同組織をつくりまして、この空き家対策の検討をしたり、推進をしたり、そういうことに取り組んできているところであります。今回、この6月補正の中でも強化予算を組ませていただきました。そういうのも活用していただきながら、こうした空き家対策を進めていければというふうに思います。
いろいろと活用策もなされているところもございまして、例えば彩菜家、やしろのですね、ああいうところもかつての住宅を活用しまして、カフェ等で活用をし、またお試し住宅的にも使ったりということを安藤さんがされていますけれども、ああいうような形が一つ一つ、地域の中でも生まれてきているところでございますが、正直、ごらんいただくとおわかりいただけるように、やはり空き家の数はそれを上回るぐらいあり、本県でも15%に達するというように、年々ふえてきているところでございまして、市町村と共同しながら対策を進めてまいりたいと思います。
県土整備部長答弁
崖崩れ対策事業の基準につきまして、補足の答弁をさせていただきます。
まず、住宅裏等で実施している崖崩れ対策の基本的な考え方でございますが、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律の第9条の趣旨では、崖崩れの対策は崖と斜面の土地所有者、また住宅等を守りたい、いわゆる受益者の方が実施するのが原則という考え方になっておりますが、土砂の撤去ですとか、土のうを置くとか、ブルーシートを敷く程度の小規模なものでありましたら個人で対応が可能かもしれませんが、大規模な斜面対策工事は難しいということで、急傾斜法の12条でも一定の要件を満たすものについては県が対策工事の実施ができるという規定になっております。また、市町村が対策工事を行う場合に、県から市等への補助金を出す制度もございます。
これらの事業は、具体的には事業目的別、また事業の主体別で大きく4つに分かれます。事業の目的は、崩壊の未然防止か、あるいは崩壊が発生してしまった後の復旧かという観点です。事業主体別というのは県か市町村かということなのですが、事業規模の大きいほうから、最初は国の交付金によります急傾斜地崩壊対策事業、ちょっとこれから言うのは、急傾斜地崩壊対策事業、長いので、急傾斜事業と呼ばせていただきますけれども、この国の交付金の急傾斜事業は予防的な目標で、実施主体は県でございます。
2番目が、県単の急傾斜事業でございます。これも予防目的で県の事業です。
3番目が、県単の小規模急傾斜事業です。こちらも予防目的で、こちらは事業実施主体が市町村でございます。
最後に、県単の斜面崩壊対策事業、こちらは事業目的が崩壊発生後の復旧目的でございます。事業主体は市町村でございます。
議員からお話があった事業はこの3つ目と4つ目のいずれも市町村が実施主体の事業かと思われます。まず、採択要件ですけれども、予防目的の単県小規模急傾斜事業は、人家1戸以上、あと事業費の縛りは特にございません。それから、崩壊発生後の復旧を目的とした単県斜面崩壊対策事業につきましては、人家は1戸以上、あと事業費は100万円を超えるものということになっております。
これらの事業につきましては、知事のほうからもお話がありましたけれども、過去にも採択要件の緩和というものを実施してきておりまして、単県小規模急傾斜事業につきましては、当初人家5戸以上であったものが、東日本大震災の後の当時の県議会での議論を経まして、現在は人家1戸以上に緩和してきております。
それと、単県斜面崩壊対策事業でございますが、こちらは採択要件の緩和ではないのですけれども、平成16年に県内で小規模な市町村への補助事業を見直すということがあって、本事業も当時の対象の中に入っておったようなのですけれども、市町村さんからの強い存続要望ですとか、それまでの実績ということが評価されて、現在の形で存続しているというところでございます。
あと、また参考までに、先ほど知事のほうから少しお話がありましたが、近隣他県との比較なのですが、単県小規模急傾斜事業のほうは、島根県、岡山県には、これに相当する事業はございません。また、広島県には同様の事業があるのですけれども、人家の要件が当県は1戸以上ですが、広島県は2戸以上というような要件になっております。
また、単県斜面崩壊対策事業でございますが、こちらは島根県さんには同等の事業がございます。あと、岡山県に類似の事業があるのですけれども、こちらは事業費の採択が10万円以上と、かなり小規模な金額から採択がなされるという事業なのですが、中身をちょっと聞きますと、土砂撤去ですとか、土のうを敷いたり、ブルーシートを敷くというような小規模な事業を実施することがありまして、必ずしも当県のように、ある程度しっかりした対策工事を行うものではないというふうに聞いております。
以上のように、当県の採択条件は近隣県と比べまして、それほど遜色がないものかなと考えておりますけれども、急傾斜対策事業は県民の人命、財産に直結する極めて重要な事業であると考えておりますので、引き続き市町村とも連携をいたしまして、しっかりと進めてまいりたいと考えております。
再質問1
それでは、再質問をさせていただきます。
まず、人権政策であります。県内の状況を少し知事の認識を伺いました。先般、5月5日の朝日新聞を手にしています。東海地方の20代女性が両親に結婚相手を紹介したのは昨年末のことだ。家族のお祝いムードは、父親のネット検索で一変した。○○は部落。相手の住所が被差別部落の地区だとされていた。娘がつらい目に遭うかもしれないと父親に結婚を反対されたと、女性は住んでいる自治体に相談した。娘を差別に巻き込みたくないという親心が、父親を差別する側に変えた。今この部落リスト、もう全国的に、県内も含めて猛威を振るっています。こういう不幸な事件は表には出ていませんが、結構多くあるのではないかなというふうに思っています。
そして、ある意味このネットでの部落リストは地名だけではない。被差別部落だとする映像の中に音楽を重ね、動画を流している。部落は犯罪が多いなど、根拠のない情報があふれる掲示板が一方であります。
5月23日の朝日、そして毎日新聞に、このような記事がまたありました。ことしの参議院選挙比例区にある政党の公認で立候補予定の元フジテレビアナウンサーが、みずからの後援会の中で、被差別階層とされた人のことに触れて、士農工商の下に人間以下の存在がいる、この言葉を使った上で、当然乱暴なども働く、犯罪のプロなのだから。この方には、その党の幹事長が党として処分を検討するということであって、どうなるか私は今は知りはしませんけれども、実際こういうことがネットで流され、情報を予断と偏見で、自分の後援会で話をしていく現状があります。
翻って、本県のこの状況はどうでありましょうか。あえて名前を申し上げますが、鳥取ループ、示現舎。県内4被差別部落をネットで紹介して、そこの同和対策事業、あるいは地域の場面を予断と偏見を持ってネットで掲示をしています。そして、それはその地域にある共同浴場をエタ風呂である、そのような紹介をされています。先般、私、その集落と周辺の方にお話を聞きに行きました。この怒りはどこに向けたらいいのか、そういう声が地域の中ではあるのです。そして、その周辺の人も、温泉街の一角にこのエタ風呂と称する公衆浴場がある。その地域の人も、こんなことをやられたのでは風評被害だという声もいただきました。
本県においては、部落解放・人権政策確立要求鳥取県実行委員会が本県の19市町村で構成をされていて、鳥取県も、そして我が鳥取県議会も後援団体として活動しています。その実行委員会は、これらのネットを削除するために法務省に出向いたり、国会議員に陳情をしたりして、今、活動をしています。
知事ね、本県においてこういう差別の現実がある。御承知だと思いますけれども、御所見をいただきたいというふうに思います。
知事再答弁1
重ねて由田県議からお話をいただきました。
先ほど申しましたように、私どもも毎年のようにそうした事象を把握をさせていただき、対策をそうした同和対策協議会さんだとか、いろいろなところにも話し合いの場を持たせていただいて、対策をとらせていただいています。
最近、特に我々としては、悪質性があって問題視しているのは、そういうインターネットを使った心ない差別事象でございます。平成21年ぐらいから今おっしゃるようなことが大分出るようになりました。当時、私ども、これはいかんというふうに思いまして、それで各方面にいろいろ働きかけるのですが、なかなかうまくいきません。国のほうにもこういうインターネットにおける差別事象対策を何とかすべきだということも申し上げていったり、プロバイダーさんのほうにも言うわけでありますけれども、はかばかしく動くわけではございません。私どものほうでも、ただ、そういうことがあったときには、関係者とも連絡をとり合って対策をとるようにさせていただいております。
議員が今、指摘された、そういうインターネット上の動きについては、実は本県だけの問題にもとどまっておりませんで、全国的な課題となっており、滋賀県においても訴訟になっているものでございます。最近でもいわゆる地名総鑑事件というのがかつてありましたが、それをまた復刻版をというような動きを見せて、それがアマゾンに掲載をされたと。私どもはそれを察知いたしまして、それで国のほうにも申し上げて、法務局のほうが動かれたのか、よくわかりませんけれども、その後、アマゾンのほうは削除をされたものの、ただ、やめたわけではなくて、同じようなことが執拗に出てくると。これで運動団体さんのほうでは、当事者団体として差しとめ請求をされたり、裁判を起こされたりしています。差しとめ請求については認容されて、現在、差しとめのほうになっているわけでありますが、本案訴訟がございますので、裁判の結果によって今後どうなるのかというのはまだ今、裁判所のほうで継続中であるというふうなことでございます。
今回、部落差別解消推進法ができて、それで我々もこういうことを改めて認識をしているものですから、同和対策協議会の中で特別の部会を3つほどつくりました。一つは先ほどの教育や啓発のものであり、一つがインターネット対策でございまして、こうしたことなどを対策として我々もフォローアップしています。
昨年度はそのインターネットのモニタリングということをやってみたわけでございます。それで今年度、このインターネットのモニタリングのネットワークをつくって、市町村などとも協力をしながら、こういうモニタリングを進めていくということをやってはどうかということで今、動いているところでございます。私どもも削除要請しても、なかなかプロバイダーさんのほうできれいに従ってくれるわけではなくて、多分、何らかの立法措置が本来必要なのだろうというふうに思います。
最近の動きでは、昨年の12月ですか、法務省のほうで通達が出ていまして、国としてこういうものに対する対応を強化するということになりました。これがどういう実効性のあるものになるのか注目をしてまいりたいと思います。
いずれにいたしましても、今、議員が御指摘になられたように、この同和問題の抱える課題というのは終わったわけではなくて、現にインターネットという、そういうところで匿名性の舞台ができてしまって、瞬時にして広がるという、そういう非常に現代の恐ろしさというのが加わってしまったわけですね。ですから、かつての落書きだとかを消しに行ったり、それについての検討をして再発防止策を考えるという時代とはだんだん変わってきていまして、一遍、掲示板なりなんなりに書き込まれてしまうと、ネットの世界では一発で世界中に広がってしまうという、そういうようなことであり、それについて簡単にそれを消し去ることができない。こっちで消しても、また向こうで出てくるというようなことになったりするわけでありまして、非常に問題は複雑化しているというようなのが逆に現在の状況ではないかなというふうに考えております。
いずれにいたしましても、許される事柄ではありませんので、関係者の皆様とこれは力を合わせて、そういう事態の解消に向けて一歩ずつ進んでいく必要があると考えております。
再質問2
御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
私は被差別部落出身で、部落解放運動をしています。このように私が出自を明らかにすることは正当なことであり、皆さんもしっかり受け入れていただけると思っています。しかし一方で、私の出自を私の知らないところで、ネットで暴かれると、これはまた違った事態になるわけであります。やはりそういうところに着目をしていただきたいというふうに思うのです。
そして、私は今議会前に知事要望として、この法の制定を受けて、県条例をつくられたらいかがでしょうかという視点で要望、今、福岡県や奈良県の例を検証するというような回答をいただいています。私が聞いたこの方も、この怒りはどこに持っていったらいいのか。知事がくしくも言われた相談体制の中で、隣保館や、そういうところにこの問題を持っていって解決するような状況になるのでしょうか。やはりこの法律と一緒の中身で県の役割を自覚しながら、相談体制の充実や教育啓発、あるいは実態調査等、条例の中でこの計画を策定していくべきと私は考えますが、再度この条例について知事の答弁をいただきたいと思います。
そして、中山間地の空き家対策です。先般、終活の一つ、住活、住宅の終末に、日本は空き家は平成30年の10月1日時点で、過去最高の846万戸、空き家問題が深刻化する一方だということであります。もう既に我が国は住宅過剰状態に、新築住宅の建築が上回って、空き家がどんどんふえている。空き家が増加していることは、新築がふえていることだということであります。
それで、問題なのは新築をする場合に、もともとあった住宅のところに、敷地内に住宅を建築する率が10%未満となっているということであります。翻って、私どもの近くや皆さんの近くもよく見ていただいたらわかると思います。実家がありながら、便利な市街地周辺に家を建てたり、そういう方がたくさんいらっしゃいます。やはりこれは政治で解決をしていかなければならないのではないでしょうか。この問題にしても、いずれその時期にはこの住宅問題として建築規制だとか、そういうことにも発展するように、この新聞は書いてあります。そういう法整備を急がなければならないというふうな視点で書かれているわけであります。
私の言いたいことは、これらの住宅政策をもっと中山間地の空き家対策に生かせないものか。あるいは地域を指定して、そこに住宅を建築していただく。いや、もっと言えば実家に、あるいはその敷地の中に建築をすることを奨励をする制度づくり等、これを考えられたらいかがでしょうかという視点で質問をさせていただきました。御答弁をお願いします。
知事再答弁2
由田議員から2点につきまして御質問がございました。
まず1つは、部落差別解消推進法ができたわけでありますが、それを受けてまた条例をつくってはということでございます。これにつきましては、議員もいみじくもおっしゃいましたけれども、今、我々も調査を始めたところでございまして、いましばらく時間もいただきながら分析もしていきたいと思います。
若干ちょっと御説明を、今までの成果を含めて申し上げたほうがいいのかもしれませんが、先ほど申しましたように、私どもは人権尊重社会づくり条例というのが平成8年にできました。先般も申し上げたことであります。この同じ時期に部落差別解消の条例というのを実は市町村がつくったり、また今おっしゃった福岡県とか奈良県とか、そういうところは、実はそっちのほうの条例をつくっているのですね。そうした観点で、他県ではいろんな観点の条例を部落差別限定でつくっているところがございました。私どもは、実は当時、当事者団体とも大分やりとりを平成8年にしたのですが、そういうことをもちろん趣旨の中に入れて、他の人権も含めた条例をつくりますということで、人権尊重の社会づくり条例をつくり、市町村のほうでやっていた部落差別解消に関する条例の趣旨は取り込むということにさせていただいたという経緯があります。
それで、その中に、例えば当時、そうした関係者といろんな議論をしているのですが、全ての人が責務として人権尊重について責務を負うようなことであるとか、そうしたことも盛り込みながら、全国についてはモデル的な条例をつくったということであります。福岡県などは、当時つくったものがちょっと余りにも限定的過ぎて、今回新しい法律ができたので、全部改正をして入れかえたというのがその状況のようでございますし、他の地域も都道府県レベルは基本的にはそういうことなのかなと思います。
ただ、議員のほうでもお調べいただいたように、最近になって初めてそういう条例をつくった市町村などもありまして、こういうところは今回の解消法の流れの中で新たに生まれた動きだと思うのですが、都道府県レベルはどうも前の平成8年、9年ごろにつくったものの、修正なり焼き直しというのがどうも多いように今は印象を持っています。いずれにいたしましても、同和対策協議会もございますし、そうしたところでもいろいろ議論していただいたり、人権尊重の社会づくりの審議会もございますので、それはかつての平成8年の条例に基づいてつくられたものでありますが、大きく今後、議論をしながら、必要な、例えば条例を一部改正するということかもしれませんし、あるいはまた別の考えかもしれませんし、これからちょっといろいろと情報を他の地域の情報も入れて考えてまいりたいと思います。
後段のほうにつきましては、これは詳細、生活環境部長のほうからお答えを申し上げたいと思いますが、住宅についていろいろと法律だとか規制もあります。都市計画の中でも、ここは住居をつくっていいよというところもあれば、市街化調整区域がかかるとつくれないというようなところもあったり、もちろん建蔽率等々の課題もあったりする中で、どういうふうに中山間地の住宅を守っていくのかと、こういうような観点ではないかなというふうに思います。いろいろとこれからさまざまな御意見もいただきながら、空き家対策の協議会を市町村と一緒につくっておりますので、そういうところでも意見を出し合って、空き家がこれ以上ふえることがないようにという趣旨かなと思いますが、そういう予防策も含めて検討をさせていただきたいと思います。
生活環境部長再答弁1
空き家対策につきまして、補足の答弁を申し上げたいと思います。
議員の御提案は、住宅対策、中山間地対策と一緒に同じような考え方で、同じ地区にできるだけ新築家屋を建てることを推奨するような、そういう施策をとってはどうかという御指摘かと思いますけれども、移動の自由といいますか、住むところを選ぶ選択の自由というのはございますので、そこを中山間地、御自分の御出身地に建ててくださいということは、なかなか行政側が申し上げることは非常に難しいかと思いますけれども、議員のほうもおっしゃっておりましたが、既にある空き家のほうの利活用を、まだ利活用できる空き家がそのまま放置されて危険空き家になっていって、結果的に住めなくなる、そして除去しなければならなくなるというのが現状ございますので、できるだけまだまだ使える、流通し得る空き家についてはそれなりの調査を行っていただいて、その住宅が流通し得るような形に持っていくという、そういう施策がまず必要ではないかなというふうに思っております。
現に中山間地対策ということで、これまでも人口減対策として市町と連携をして、従来から鳥取県移住定住推進交付金、こういうものを使いまして、住宅修繕の支援も行っているところでございますし、また中山間地域における小規模の高齢化集落等を対象といたしました定住支援制度、こういったものを設けております。また、本議会に御提案申し上げておりますけれども、空き家の利活用、流通し得る空き家の利活用を進めるという予算のほうも御提案をしてお願いしているところでございます。そういった制度等も活用するなり、あるいは中山間地で先ほど申し上げた制度がございますが、制度の拡充について市町のほうの御意見もお聞きしながら検討してみたいと考えております。
再質問3
決して現在行っている県や関係自治体の空き家対策を否定するものではないのです。その一つに今この空き家が日本でふえていって、その原因が飽和状態になっている建築部分、そしてそれが例えば2000年のこの規制緩和で市街化調整区域等にも建築ができるようになったところも要因としてあるというふうに言われています。
私はこのことで否定するものではないし、いずれ空き家が必ず新しいところに家を建てて出た人が、子供であるとか孫になって、家のこの終活、あるいは終末に必ず負担が出てくる。であるとしたら、空き家をつくらない対策が一番の空き家対策という、この議場でもその視点で発言された議員もおられましたけれども、やはりそのことに着目をすべき。もちろん新築だけではありません。改築、改修も含めて、やはり政治的に、意図的に、意識的に人の移動を促す。決してそこには憲法の保障した居住移転の自由を否定するものではないのですよ。そういうメニューを加えていって、中山間地や実家のあるところに若い人に住んでもらう政策づくりはいかがでしょうかというのが私の主張なのです。
今、部長が言われたこと、よくよくわかりますよ。それはそれでやりながら、一方で、こういう意図、意識的な政策というのもあってしかるべきではないかという視点で質問をさせていただきましたので、決して僕の言っていることが正しいなんて思っていません。何かおかしいぞというところがあれば御指摘をいただき、僕も研さんしていきたいというふうに思いますのでね。
ただ、今の時点では、日本のこの空き家対策の原因の一つが自宅を離れて家を建てる、それが一因になっているということもやはり認識はする必要があるし、もとの住宅にその御子息やお孫さんに帰っていただく政策づくりも必要ではないかという視点での質問ですので、よろしくお願いしたいと思います。何かあれば御答弁をいただいて、終わります。
知事再答弁3
由田県議から重ねてお尋ねがございました。
これはやはり住まい方、それから家族のあり方なのかなというふうに思って伺いました。実は鳥取県もそういう問題意識を持って一つ全国でも珍しいことをやっていることがあるのですが、それは3世帯住宅につきまして、当然ながら、1世帯、2世帯、3世帯となってきますと、だんだん大きくなってきます。そうすると、家を建てると、つまり今の母屋をやりかえてみんなで住みやすいようにしましょうと。あるいは増築もあるかもしれませんけれども、そうすると、県だと不動産取得税というのがかかってくるわけですね。今の不動産取得税は120平米か何かですかね、そういうところ以上は税金がかかってくるということになります。
ただ、本県のように、今おっしゃるように、どうせあるこのみんなで一緒に住むような形で家を考えたほうがいいではないかと。それは何となればそこに田んぼも畑もあって、みんなで一緒に作業することもあるし、また子供の面倒を見るという意味でも3世帯のほうがいいという考え方で選択することもあるでしょうと。それがその分だけ税金が高くなるというのは、実はその地域の実情に合わないのではないかと。こういうことで、この議場でもそういう御意見が出まして、鳥取県は不動産取得税は3世帯住宅というようなこと、2世帯住宅、3世帯住宅、そういうおじいちゃん、おばあちゃんがいるようなところについては、そういう2世帯住宅以上のところの優遇措置をつくりまして、免税範囲というのを広げているのですね。全国的には珍しいような政策かもしれませんけれども、やはりそういう家族の選択というのを応援をするということもあるのではないかということだと思います。
また、中山間地での魅力づくり、そこにやはり住み続けたいと思うような、そういうコミュニティー形成、令和という時代を開くための地域づくりの応援事業であるとか、さまざまなこともありましょうし、またそういうところで子供さんが伸び伸びと遊べるような、そういう森のようちえんみたいな仕掛けであるだとか、従来、都市の中に住むことだけがいいというふうに思われていた価値観に対するアンチテーゼを私たちはこれからつくっていかなければいけないのだと思います。
多分、住宅だけで解決できないお話なのかなと思いました。総合的にそういうように住まい方を選択してもらって、無理無理に新しい家を建てなくても、今のところでつくりかえてみんなで住もうという選択が起きやすいように、私たちとしても今後、政策形成で配慮してまいりたいと思います。